着床障害をおこす疾患

着床障害をおこす疾患

2023.06.02

子宮に異常があれば着床障害を引き起こし、不妊の原因になります。子宮因子となりうる主な疾患には、次のようなものがあります。

子宮筋腫子宮の筋層にできる良性腫瘍で、30~40代の女性の数人に1人は持っているといわれますが、原因ははっきりわかっていません。大きく分けて、子宮腔に突き出てくる「粘膜下筋腫」、子宮の筋肉内にできる「筋層内筋腫」、子宮の外側にできる「漿膜下筋腫」の3つのタイプがあります。
子宮筋腫と不妊は必ずしも直結しませんが、筋腫の大きさや場所によっては卵管狭窄や着床障害を引き起こし、不妊の原因となることがあります。粘膜下筋腫でなくても、子宮筋腫から子宮の収縮物質であるプロスタグランディンなどが分泌されるため、着床しにくくなるという説もあります。
治療としては、とくに、粘膜下にできた筋腫は着床の妨げになりやすいと考えられ、筋腫の核の部分だけを摘出する手術(子宮筋腫核出術)の適応となります。また筋層内や漿膜下筋腫については妊娠前の治療の是非について明確な方針はないですが、ほかに不妊の原因がない場合、大きさや筋腫の部位・個数により手術の適応を検討することもあります。
妊娠希望がでるまで症状を改善したり、大きくなるのを抑制したりする目的や、また手術前の治療として薬物療法が行われることもあります。
 
子宮腺筋症子宮の内側にある子宮内膜と似た組織(子宮内膜様組織)が子宮筋層内で増殖・発育し、子宮全体が硬く大きくなる病気です。筋層内の内膜様組織は月経のたびに増殖・出血し、子宮の壁を厚く硬くするので、受精卵は着床しにくくなります。
子宮奇形子宮が2つある「重複子宮」、子宮の真ん中にしきりの壁がある「中隔子宮」、子宮底が分離
しているような形の「双角子宮」などがあります。これらは、妊娠初期の子宮形成過程で何らかの障害があり、「ミュラー管」と呼ばれる2つの管がうまく癒合しなかったものと考えられます。子宮奇形は、不妊だけでなく流産の原因となることも多いため、奇形の種類と程度によっては手術を行います。 
子宮内膜ポリープ子宮内膜にできる良性の粘膜腫瘍で、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌過剰などにより、子宮内膜が必要以上に増殖することで発生すると考えられています。子宮内膜に凹凸ができるため、着床を妨げる可能性があります。

子宮内膜掻爬術(D&C)

人工妊娠中絶、自然流産、子宮内膜ポリープなどでD&Cをすることがあります。子宮内膜とキューレットでこすり取る、つまり掻爬する方法です。しかしこのD&Cは方法を誤ると不妊の原因になります。子宮内膜は月経ごとに再生されますが、過度の掻爬が内膜を傷つけ再生を障害することがあるのです。再生を障害され薄くなった子宮内膜では受精卵の着床が難しくなります。

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