造精機能障害をおこす疾患

造精機能障害をおこす疾患

2023.06.02

精子をつくる働きの障害には以下のようなものがあります。しかし、原因不明の突発性造精機能障害が約60%を占めるといわれています。また、精巣炎も原因となる場合があります。

精索静脈瘤造精巣機能障害の原因のうち、約30%を占めるといわれます。精子をつくるには体温より1~2度低い温度が適温とされていますが、陰嚢が体の外にぶら下がっているのは、中にある精巣の温度が上昇しないようにするためです。ところが、精巣の静脈のうち、とくに左側の静脈は、血液がスムーズに流れにくい構造となっています。このため、血液が逆流して滞り、「精索静脈瘤」というこぶができる場合があります。この血流障害のために精巣内の温度が上昇し、造精機能が低下します。
クラインフェルター症候群性染色体異常の一種です。男性は通常XとYの染色体を1つずつ持っていますが、X染色体を過剰に持っている場合をいいます。この症候群の男性は精巣が発達せず、男性ホルモン(テストステロン)の分泌も少ないため、多くは無精子症となります。しかし、精巣内にわずかに精子が存在する場合もあります。精巣委縮、女性化乳房なども認められます。
停留精巣精巣は、女の子の卵巣に相当する器官であり、胎児の時に腎臓に近いところから次第に下降し、陰嚢の中に降りてきます。この精巣の下降が途中で止まり、陰嚢の中に精巣が入っていない状態をいいます。生後6カ月までは自然に精巣が降りてくる場合がありますが、それ以降は自然な下降は認められません。男の子の先天的な異常の中ではもっとも頻度の高い疾患です。

遺伝と不妊

不妊症と遺伝は密接な関係にあり、男性不妊を主訴として来院した男性患者の染色体検査を実施すると、常染色体異常を2.2%、性染色体異常を3.3%、合計5.6%に染色体異常を認めるとの報告があります。
常染色体異常には、ロバートソン転座、相互転座、逆位、リング染色体などがあり、性染色体異常にはクラインフェルター症候群、46,XX男性、47,XYY、Y染色体の構造異常などがあります。

環境ホルモンと造精機能

内分泌かく乱化学物質による男性生殖器系への影響の1つとして、精液の質の低下傾向が危惧されています。それらの化学物質は、環境因子だけでなく身近な薬物や食品添加物としても日常にあり、その暴露に我々はさらされています。
これらの精子への影響は野生動物での事例や動物実験では確認されていますが、一般生活環境下でのヒトへの影響についてはまだ確実な証拠が示されていません。

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