二人目不妊の悩み
電話相談に寄せられる二人目不妊の悩みには、「計画通りに二人目ができない」「友人に二人目ができてあせる」「『二人目はまだ?』と聞かれたり、妊娠の話を聞くと気分が落ち込む」「二人目があきらめきれない」など、一人目不妊と同様の悩みがみられます。
一方、二人目不妊ならではの悩みもあります。「一人目ができたのだから二人目も妊娠して当然」という認識があることから、妊娠しないことにジレンマを感じ、深く悩まれるともいわれます。「一人目ができたのに、不妊ということがあるのでしょうか」といった相談に見られるように、二人目不妊の存在自体があまり知られていないことも影響しているかもしれません。
また、第1子を育てながらの治療となることから、治療にかけるエネルギーや経済的負担が限られるなど、子育てと治療の両立に悩まれることも、二人目不妊の悩みの特徴です。
第1子を不妊治療で出産し、二人目を希望している場合には、「また不妊治療をしなければならないと思うとつらい」「一人目は不妊治療でできたが、今回は不妊治療でもうまくいかない」などの悩みが聞かれます。
二人目を望む理由は、一人っ子はかわいそう、跡継ぎの男の子(女の子)が欲しい、家族4人という形を思い描いている、夫や家族が望んでいるなどさまざまです。一方、子どもが一人いることで、「子どもは一人がいるんだからいいじゃない」「贅沢な悩み」ととらえられるなど、悩みを理解されにくいという特徴もあります。しかし、子どもを授かりたいのに授かれない、希望がかなわないという意味では、一人目不妊と同様といえます。
二人目不妊の原因
原因として以下のようなことが考えられます。
年齢の変化 | 妊娠経験や子どもの有無にかかわらず年齢が高くなると妊娠率は低下します。二人目を希望する場合、一人目の出産から年数が経過している場合や、第1子妊娠がすでに高齢である場合、第2子希望年齢が更に高くなっていることなどから、一般的な年齢の変化が関与していると考えられます。 年齢とともに、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣腫瘍などの婦人科疾患が増加することも関係します。また、妊娠したとしても、流産率が上昇していきます。 | |
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子宮・卵管環境の変化 | 第1子出産後の子宮内感染や、流産手術を受けることで、子宮や卵管の癒着を起こし、子宮因子や卵管因子の不妊となる場合があります。 | |
本来は不妊 | もともと妊娠しにくい原因があったにもかかわらず、第1子をたまたま妊娠・出産し、第2子はなかなか授からない場合も考えられます。 | |
パートナーの変更 | 第1子の出産後、パートナーが変わることで不妊となる場合があります。 一人目ができているので、原因は相手にあると思われがちですが、お互いの免疫学的相性が合わないことで起こる免疫因子の場合もあります。 | |
一人目出産後のセックスレス | 「妊娠を機に性生活が変わってしまった」「育児に追われているうちに、性生活がなくなってしまった」など、妊娠・出産を契機に性生活が変化し、妊娠のチャンスが減ってしまうことも多いようです。 |
二人目不妊の治療
二人目不妊は、身体的な面では、原発性不妊とほぼ同じ原因で起こっているといえます。そのため、治療は原発性不妊症と同様です。
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【引用・参考文献】
1)河崎環(2002):「ふたりめが出来ない。どうして?静かなる第二子不妊」.総合情報サイトAll About(アクセス:2013.12.21)
2)産婦人科の基礎知識:http://www.san-kiso.com/futarime.html(アクセス:2013.12.21)
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精子提供で生まれたということを親から隠されて歳を重ね、ある日突然生まれの真実を知らされ、自分が何者なのかわからない」という苦しみの中で人生を歩んでいる人たちの怒りは、AIDという医療と、そのことを隠していた両親に向いています。昨今、DNA検査は簡単にできる時代です。隠していてもわかってしまう可能性は高く、また、家族の歴史に秘密があると、子どもは「この家には隠された秘密がある」と疑って成長する場合が多いのです。思春期以降に事実を知った子どもたちのほとんどが、大きなショックを受け、親子関係が破綻している場合も少なくありません。この医療を選択するのならば、子どもの命の誕生に「提供者」という存在がかかわったのだということを、子どもが乳幼児の頃からオープンにしていく覚悟が必要です。 ③ 生まれてきた子どもにどう伝えるか 親が提供による子どもの誕生を「良いこと」として捉え、誇りを持って、「あなたの誕生の物語」について、正直な態度で、話をしていくことが必要です。できれば子ども自身の心の負担の無い、赤ちゃんの頃から話をしてあげてください。「赤ちゃんでは理解できないのでは?」と思われるかもしれませんが、それでもいいのです。折に触れて日常のなかで少しずつ、繰り返し親自身が話すことによって、オープンな姿勢が子どもに伝わります。親にとっては、それから先の告知の練習にもなります。いざというときにうろたえずに済むのです。正直に話をしていきながら、子育てをしていくことにより、安定した親子関係の土台を築いていくことができるでしょう。AIDで生まれた人の家族をテーマにした絵本も出版されていています。このような絵本を活用しながら、「愛している」「私の子どもに生まれてくれてありがとう」と繰り返し伝えて欲しいと思います。 ※「ゆみちゃんのものがたり」文・編集・発行/才村眞理 ※「わたしのものがたりMy Story」文/北原由美子・すまいる親の会 編集・発行/清水きよみ ④ 子どもの出自を知る権利 日本も批准する「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」では、「子どもはだれでも、自身の遺伝的親を知る権利を持っている」とされています。もし、知ることができない場合は国が保障すべきだとしています。これが「子どもの出自を知る権利」です。この権利を保障するには、提供精子を利用して生まれた子どもが、自身の遺伝的親ともいえる提供者を知りたい場合に、知ることができる仕組みが必要です。残念ながら、日本の生殖医療の法律では現在(2023年6月)のところ、その権利は記載されていません。医療機関の中には、提供者を知る仕組みを独自に作り、医療を提供しているところもありますが、まだまだ少ないのが現状です。この仕組みが無いがゆえに、親自身も医療機関も、提供者が誰かわからない場合も少なくありません。そんな中2022年12月には、日本国内の精子提供や卵子提供で生まれた人と過去に精子や卵子を提供した人を結び付けることを通して、自己の遺伝情報を知る権利の重要性を啓発し、提供型生殖補助医療の抱える課題の解決を目指す「一般社団法人ドナーリンク・ジャパン」という法人が設立されました。我が国においても「出自を知る権利」を保証するよう求める声が上がってきています。繰り返しになりますが、親自身も医療機関も提供者が誰かわからない場合でも、生まれた子どもに幼少期から正直に、提供で生まれたことを話し続けることは、必要不可欠です。 「親になりたい」を叶えるもう一つの選択肢「里親制度と養子縁組」―あなたらしい家族を見つけませんか ① 不妊治療の先の選択肢 世界保健機関(WHO)は、世界全体で成人の約6人に1人が不妊を経験していると発表しました(2023年4月)。不妊治療をしたにもかかわらず実子を得ることができなかったご夫婦は、子どもを産んで「親になる」という青写真が否定される現実に直面します。近年の治療技術の急速な発達と治療方法の拡大は、治療に通えば子供が授かるといった思い込みを、不妊当事者を含む社会一般に植え付けている面があります(安田・山田,2008)。不妊治療をしてなかなか子どもが授からなくても治療のやめ時を決められず、年齢を重ねていくご夫婦は決して少なくありません。社会に根深くある血縁主義の家族観の中で不妊治療以外に家族を作る選択肢があることに目を向けることができなくなっているのかもしれません。 ② 里親制度や養子縁組で子どもを育てる「親になる」 日本ではこれまで、実親の元で暮らすことができない「社会的養護」が必要な子どもの多くは、乳児院や児童養護施設での施設養護で暮らしていました。しかし家庭環境の中で特定の養育者に育てられることが、子どもの心身の健康な育ちに有益であることが認められてきました。里親制度は児童福祉法で規定された制度で、いろいろな事情で実親の元で育つことができない子どもをある一定期間家庭で養育する制度です。養子制度は民法により実親が育てられない子どもを縁組することによって法律上でも親子となる制度です。「新しい社会的養育ビジョン」(2017)では、乳幼児には原則家庭養育を徹底することや里親委託の推進など、子どもたちが家庭養育で育つことができるようより一層力を入れるよう示しました。里親や養親になったご夫婦の多くは、子どもを育てることの意味、今後の家族のあり方を真剣に話し合った上で意識的に「親になる」ことを選択した夫婦といえます。不妊治療、里親制度、養子縁組など多様な選択肢から夫婦にとって望ましい家族の形を選び、幸せな家庭を作っていくことが大事なのではないでしょうか。 【文:精子・卵子の提供により生まれた人のためのライフストーリーワーク研究会】 「精子・卵子の提供により生まれた人のためのライフストーリーワーク研究会」とは提供精子により生まれた人と研究者からなるグループで、提供精子・卵子により生まれた人へのサポートの手段として、社会的養護の分野で広がっているライフストーリーワークを応用する方法を検討しています。ライフストーリーワークは、サポーターとともに、これまでの人生を振り返り、整理するソーシャルワークの技法です。提供精子・卵子により生まれた方の置かれている状況やライフストーリーワークについての講座を実施しています。詳細は、研究会HPをご参照ください。
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