男性のからだ

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2023.06.02

精子ができるしくみ

陰茎の下にある陰嚢の中には、精子をつくる「精巣」があります。「睾丸」ともいいますが、女性の「卵巣」に対応する名称として、最近は精巣と呼ぶことが多くなっています。
精巣の中には「精細管」という細い管があり、精子はこの中でつくられます。精細管の中には、胎児のときから、精子のもとになる精祖細胞があり、思春期になると、精祖細胞から精母細胞がつくられ、さらに精母細胞は精子細胞となります。この精子細胞が成熟して、頭と尾のある精子となります。
精子の発生には、性ホルモンが大きく関わっています。性ホルモンの流れをつかさどっているのは、女性と同様、脳の視床下部と下垂体です。まず、視床下部からゴナドトロピン放出ホルモン(性腺刺激ホルモン放出ホルモン:GnRH)が分泌されて下垂体を刺激し、黄体化ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)を分泌するよう指令を出します。黄体化ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)は、精巣内にある2種類の細胞を別々に刺激します。黄体化ホルモン(LH)による刺激を受けて、精巣では男性ホルモン(テストステロン)がつくられます。また、卵胞刺激ホルモン(FSH)は、男性ホルモン(テストステロン)とともに、精子の発生を促します。

精巣の機能

精巣には、精子をつくり、男性ホルモン(テストステロン)を分泌するという2つの役割があります。精巣は非常に血行がよく、また温度の変化や圧迫、外傷に敏感です。精巣は体温より少し低い温度で最もよく働くようにできています。陰嚢が体の下にぶら下がっているのは、精巣の温度を少し下げるためなのです。陰嚢の温度が下がりすぎたときには陰嚢の中の筋肉が収縮して精巣を体の中に引き上げて精巣の温度が下がりすぎないように自動的に調節します。

精子の流れ

精巣でつくられた精子は、「精巣上体」と呼ばれる管に蓄えられます。そこで精子は運動能力と受精能力を獲得します。性的刺激により脳から指令が出されると、精子は「精管」に押し出され、「精管膨大部」へと運ばれます。その後、「精嚢」や「前立腺」からの分泌液と混じって精液となり、尿道から体外へと放出されます。この現象が「射精」です。
1回の射精で排出される精液は約2~5mlですが、その中に占める精子の割合は約1%に過ぎません。しかし、数としては2~3億個にも達します。しかし、最終的に卵子に侵入することができるのは、そのうちの1個だけです。
精子は、卵子とは異なり、思春期以降はつねに新しく作られ続けます。健康な男子では1日に約1億個の精子がつくりだされ、生涯で1兆個の産生があるとされています。また、精祖細胞から精子がつくられるのにかかる期間は74日間というわずかな期間であることから、加齢による影響は少ないとされています。しかし、加齢とともに精巣の大きさも少しずつ小さくなり、男性ホルモンをつくる力も緩やかに低下することから、少しずつその機能は低下します。


【引用・参考文献】 *久保春海他(2006):不妊相談のためのマニュアル.不妊に対する理解と支援のための普及事業 事業委員会*日本生殖医学会(2013):不妊症Q&A

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